
多孔質金属
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焼結金属(多孔質金属)とは
焼結金属(多孔質金属)とは、粉末冶金法(金属粉末を成形して焼結し金属製品を作る製法)で製作された製品のことを『焼結金属』と呼ぶ。焼結金属を多孔質化し、全ての気孔が連結された製品が焼結金属フィルターである。焼結金属フィルターは『焼結金属』、『焼結フィルター』、『焼結金属フィルター』『焼結金属エレメント』、『焼結エレメント』『ポーラスメタル』、『多孔質金属フィルター』などと呼ばれることがあるが全て同じ多孔質金属のことである。

多孔質金属の素材の種類
多孔質金属はどのような素材を使用するかにより、性能・形状・圧力損失が変わのでご使用環境や用途により最適な素材を選定することが必要であると考えます
金網

焼結金網は、金網を1枚から複数枚積層し、焼結処理(金網の線と線を溶着させる)を施した製品である。金網を積層し、焼結処理を施すことにより積層した層と層を一体化することが可能で①強度の確保、②正確な気孔径、③圧力損失の低減をバランスよく適えることが出来る多孔質金属である
多孔質金属の用途
多孔質金属の用途は多岐にわたりますが、用途・ご使用環境に合わせた素材を使用する必要がございます。
ベイパーチャンバー(ヒートシンク)

ヒートシンクであれば、焼結金属(多孔質金属)の気孔を液体が通過することにより金属からの熱伝導が効果的に伝わります
バブリング

焼結金属・焼結金網を採用したバブリングノズルは気泡を拡散することが可能です。気泡を微細化するには一工夫必要となりますが現在最重要事項と考え、開発に取り組んでおります
防爆フィルター

焼結金属・焼結金網を採用した防爆フィルター、フレームアレスターは微細気孔を通過することによる消炎効果、焼結金属フィルターによる連続気孔による内部圧力の通過、金属素材同士の結合による優れた強度により採用実績多数ございます
金型のガス排出

射出成形時に発生するガスを排出する目的で射出成形型に設置し金型のガス抜き(エアー抜き)に使用されます。一般的なガス抜きは気孔構造がストレートで圧力損失が低すぎたり、気孔が大き過ぎ『ヘタ』が大きく次工程の手間が多かったりと問題点もあるかと思います。焼結金属フィルターエレメントであれば気孔構造は複雑な流路構造を形成しますので適度な圧力損失で気孔径は数μmから100μmまで充填材に合わせて選定可能です。次工程の削減にかなり有効かと思います。
焼結のメカニズム
- 金属粉(粒)体の活性化
- 金属粉(粒)体表面の溶融
- ネックと呼ばれる金属粉(粒)体と金属粉(粒)体の間に出来るくびれの様なものの形成
- ネックの成長
と、焼結が進行するメカニズムには大きく4段階ありネックの成長が少なすぎると強度が足りず粉末がポロポロする『脱粒』という現象が生じます。逆に成長しすぎると気孔が全て潰れてしまい多孔質金属では無くなってしまいます。
多孔質金属の加工例
焼結技術を応用し、多孔質金属を専門に製作しているメーカー。焼結フィルターや金属フィルターエレメント、焼結エレメントなど呼称は多数ございます。 1/4(6.35)配管内で液体内に気体を溶かし込むことを目的とし、効率化のためにガスを気泡化するためのバブリングシステム。 外ネジPT11/2(1インチ半)×内ネジPT3/4(6ブ)のソケット先端に焼結金属フィルターを溶接にて接合 多孔質金属をハウジングに埋設し、フラットになるように設計・製作。ハウジングとの段差をなくし、フラットにすることのメリットは大きく、吸着プレートや浮遊プレートに特に効果を期待できます 焼結金属フィルターをM5継手に溶接接合。点溶接、全周溶接は用途により選択可能 ニップル形状の継手に焼結金網フィルターを全周溶接にて搭載。配管の単純化・効率化が期待できます 整流効果が期待でき、バブリングやセンサーケース、センサーカバーなどにも応用可能 SUSパイプの外径にSUS粉末焼結を同時焼結にて接合した製作例 焼結金網をロール加工+突合溶接にて円筒形状に加工し、更に3重に配置したハウジング 焼結金網をロール加工し、突合せ溶接により円筒形状に加工した製品。焼結金網の構成は目的により自由設計可能です 焼結金網ノズルを組立式に構造設計し、内部や各部品ごとに洗浄・消毒・滅菌の施工しやすさを追求したノズル SUS粉末を使用した焼結金属フィルターを角形状に加工。用意したハウジングに挿入後、全周溶接にて接合。 銅製多孔質焼結金属は球体粉を使用することが一般的ですが、その場合粒子径が小さくなれば空隙率も低くなりますが、特殊用途として、気孔径は小さくしたいが空隙率も高くしたいという相反する要求がございます。その相反する状況を覆した製品 粒子径100μmという微小粒子径ながら空隙率約60%を誇る多孔質金属。焼結金属という製造方法の特長でもあるが、複雑な形状が造形できるのがポイント 銅粉末の焼結体の間に銅板を挟み込み、同時焼結を試行 純銅製の金網を積層し、焼結処理した製品。金網の構成を複数型、単一型など構成は正に自由自在である。用途に応じて選択可。 銅の焼結金属で四角形状の多孔質金属 焼結金網をハウジングに装着後内・外の二重に溶接を施工 500Lの焼結金網2本を溶接で繋ぎ長さを1000L(1メートル)まで延長 焼結金網製のフィルター、ストレーナー 焼結金網仕様のストレーナー。バスケットタイプやラインフィルタータイプなど各種形状、長尺物や大外径にも対応可能です。 焼結金網フィルターをフランジと溶接し、インラインフィルターとして設置出来る様にした製品。 焼結金網の全周溶接加工事例。□100×100×t5のSUS薄板に焼結金網を挿入する溝を彫り込み、溶接を全周に施工。薄板の加工だけでも歪が大きく、ハードルは高い。 焼結金網の側面を溶接にて封止、さらにハウジング溶接することにより内部まで完全に流路を封鎖した防爆フィルター/フレームアレスター 2種類の異なる金網を一体化した積層焼結金網。例では150mesh(平織金網)と12/64mesh(畳織金網)を複合化した製作例。一つの部品で2つの性能を担保可能。 線径が太く、目の粗い平織金網を8枚積層し強度と厚みを両立した焼結金網。 焼結金網で、構成を畳織金網を8枚積層した。複雑な流路を形成する畳織金網を8枚積層することによりさらに複雑な流路を形成することが可能 SUS製焼結金網をハウジングに挿入し、接合方法にカシメを採用した製品。サイレンサー、フィルター、整流などの用途にご検討ください 焼結金属フィルター同士の連結溶接 焼結金属フィルターの円筒形状(SUS316L)両端を金具と溶接。金具の形状・仕様は自由設計可能。 SUS焼結金属フィルターをロール加工により円筒形状に加工。突合せ溶接により端面を接合。焼結金属両端に金具を接合することによりチューブ継手とした製品例 SUS316L焼結金属フィルターエレメントをロール加工し、突合せにて溶接接合。型では成形できなかったり条件が合致した場合にこのような製造方法により円筒形状(パイプ形状)の製品とする SUS焼結金属フィルターをフランジと溶接接合したフィルター・ストレーナー・センサーケース SUS製焼結金属フィルターエレメントをハウジングに挿入し、接合方法にカシメを採用した製品。サイレンサー、フィルター、整流などの用途にご検討ください 真鍮製の継手内部にブロンズ製焼結金属フィルターを搭載。 ブロンズ製の焼結金蔵フィルターを真鍮製の継手に挿入し、カシメを施工した実例 ブロンズ製焼結金属フィルターエレメントをハウジングに挿入し、接合方法にカシメを採用したサイレンサー(消音器) 金網の代替としてエキスパンドメタルを使用し、焼結処理にて同時焼結により異材の接合 銅粉末焼結金属(多孔質金属)と銅板の間に水の通り道(水路)を設置することによりヒートシンクなどの熱交換器部材などの性能向上が期待できる。また、粉末の微細気孔により毛細管現象による吸水機能も期待できる 粒径100μmの銅粉焼結体(1mm厚)と5mmの銅板と同時焼結 SUSの融点は約1400度であり、Alの融点は約660度であるがその差約800度もあり、正に別物である。さらにAl粉末とSUS板、Al粉末とAl板をバインダーレスで同時焼結接合した製作実例 アルミニウム粉末とアルミニウム板を一度の焼結処理にて多孔質金属化と接合を実現した実例 銅粉末を使用した焼結金属(多孔質金属)の中に渦巻形状に加工した銅管を埋設 焼結金属フィルター仕様のセンサーケース・防爆フィルター・フレームアレスター 焼結金網とは、金網を1枚から複数枚積層し、焼結処理(金網の線と線を溶着させる)を施した製品である。 微小孔の加工が可能なエッチングプレートを複数枚積層し穴位置を合わせることにより、板厚よりも小さい気孔を設計することが可能です。流路構造がストレートなので洗浄性に優れ、圧力損失も低く、強度も保持できます。 SUS製の金属繊維を焼結処理した焼結金属体。フィルターとして高性能であり、非常に薄い焼結体が製作可能 SUSの焼結金属フィルター(多孔質金属)の立方体全面(6面)に複雑形状を施した加工事例。通常であれば、2面の加工となるが、当社では全面において複雑形状化することが可能 焼結金属フィルターのオスネジ、メスネジ加工 焼結金属フィルターの切削加工により外周部に段付。ツライチになり、抜け止めにもなる。 焼結金属フィルター(焼結金網)にフッ素処理の施工が可能です 焼結金属製の吸着プレート・浮遊プレート
目開きとは
目開きとは、焼結金網等の規則性のある多孔質体に使用される単位。線から線までの距離のこと。
寸法の実績
厚み0.2mm(200μm)の焼結金属(多孔質金属)です。MAX寸法は不明ですが、現状85mm×85mmまでの実績はございます
焼結の方法により製作可能範囲は大きく増減しますが、500×250×t5の様な寸法や焼結手法によりもっと大きな焼結体(多孔質金属)も製作可能です。
