銅粉末製の水路設置型焼結金属・多孔質金属

焼結フィルター・多孔質金属体を用いたヒートシンク・ヒートパイプは内部に流体が通過する

ヒートシンクとは

「放熱板」とも呼ばれ、吸収した熱を空気中に発散(放熱)することで冷却を行う部品のことで表面積の広い放熱部品となり半導体素子や発熱部品に組付けることで熱がヒートシンク本体を移動し、空気と熱交換することで放熱します。
電子機器・機械部品の要求性能は高まり、システムの高出力化・省スペース化に伴い熱対策・熱設計の重要性も高まっています。半導体は電気を流すと熱を帯びます。自らの熱によって半導体の性能低下、更には故障へつながる危険性があります。したがって、その熱を速やかに逃がし、半導体の熱を下げる必要があります。過度な温度上昇は部品・設備の故障、誤作動に繋がり放熱部品を利用した放熱・温度管理が重要になってきます。
機器の冷却のために使用するヒートシンクですが、電気の力などを使って冷却を行うものではなく、熱を空気中に発散する放熱による自然冷却で温度の上昇を防ぐものです。ヒートポンプなどとは異なり、特定の箇所を周囲よりも低い温度にすることはできません。

素材もアルミニウム、銅などの熱伝導性の高い金属を使用した物。放熱方法も多岐に渡り、空冷以外にも液体を介したした液冷(水冷)等の技術も発展しています。

厚み100μm(0.1mm)の焼結体も製作可能なことから、ベイパーチャンバーなどの展開も期待できます

SUS焼結体の複雑形状4種を持つ多孔質金属
SUS316L粉末を使用した多孔質金属で一つの個体内でフラット、溝形状、山形状、凸形状の複雑形状を凝縮
アルミニウム製多孔質金属凸形状
アルミニウム製多孔質金属を表面積が増大するようにフィン付(凸形状)の複雑形状を製作。さらに、粒径と空隙率を同形状にて比較

ヒートシンクで放熱できる仕組み

ヒートシンクを熱源に取り付けると、機器の持つ熱は熱伝導によってヒートシンクに伝わります。熱はヒートシンクから周囲の空気へと逃げていき、結果として熱源の温度が下がるという仕組みです。
つまり、ヒートシンクは空気に触れる面積が広いほど、放熱効率が高くなります。ヒートシンクの熱を放出する部分は、凹凸をつけたり蛇腹状に加工したりするなど、表面積を増やして放熱効率を高めるために「フィン」と呼ばれる構造になっている製品が多いです。冷却効果を高める目的で、空冷ファンなどと組み合わせて用いられる場合もあります。
単純な仕組みなので故障する可能性が低く動作音も発生しない点が、ヒートシンクのメリットです。また、周囲の温度以上に温度が低くなることもないため、結露の発生も心配せずに済みます。

焼結金属の吸水試験

ベイパーチャンバーとは

ベイパーチャンバー(ヒートシンク)模式図
焼結金属(多孔質金属)を使用したベイパーチャンバー(ヒートシンク)の沸騰・凝縮構造の模式図

ベイパーチャンバーとは、水の気化、凝縮によって瞬時に熱を移動させるヒートパイプと同じ「金属製放熱部材」の一種です。高い熱伝導能力を持っており、瞬時に熱を拡散させて放熱することができます。

その原理は、ヒートシンクのベースを中空構造にし、その中に揮発しやすい液体を封入する。すると、熱源からの熱でその液体が気化した蒸気(vaper)がその空間(chamber)内を移動し、ヒートシンク側に到達すると熱が放出されて液体に戻る。この繰り返しで、普通のヒートシンクよりも熱抵抗値が下がる。ヒートパイプと大まかな原理は同じものである。

銅焼結金属でのヒートシンク製作例

アルミニウム焼結金属でのヒートシンク製作例

SUS焼結金属でのヒートシンク製作例